遅くなりましたが今年度の西医体の総括をさせていただきます。
本年度、第70回西日本医科学生総合体育大会ヨット部門はホームである柳が崎ヨットハーバーにて開催され、全6レースが行われました。今回、京都府立医科大学は470級7位、スナイプ級優勝、総合4位という成績を収めました。
今大会は470級の岡本爽希、スナイプ級の瀬川晃平の2名がエーススキッパーとして出場し、現役最後のレースとなりました。結果的に、1年間目標としてきた総合2連覇は達成できず、「もっと努力しておけば」、「レース数が多く、安定した風が吹いてくれていたら」といった悔しい想いや後悔もあると思います。しかし、一つ上の学年として彼らと共に戦ってきた身として、彼ら2人はヨット部に多大な貢献をしてきた学年であり、自らの5年間に自信を持って引退してほしいと思います。
彼ら2人は高校時代からラグビーやサッカーというチームスポーツを行ってきた経験もあって勝負にこだわる気持ちは強く、クルー時代からレースに勝つためにアグレッシブにスキッパーに意見し、スキッパーになってからも自ら先頭に立ってチームを引っ張っていました。同回生が二人だけという中で、同じ等級に競争相手がおらず、モチベーションの維持が難しい時期もあったと思います。しかしその中でも下級生を巻き込んで切磋琢磨しつつ、それぞれが470チーム・スナイプチームを引っ張り、お互いに刺激しあって成長してきました。ボートスピードの面では両クラスとも十分クラス優勝を狙える実力を持って大会に臨んだ中で、結果的には、一方は金メダルを手にし、一方は涙をのむという残酷な結果に終わってしまいましたが、引退式にて岡本が瀬川に対して語った想いからも、二人の絆の強さを感じさせられ、引退する二人は羨ましく感じるほど輝いて見えました。
彼らは、セーリング面はもちろんですが、部の運営という面でも貢献度が高く、幹部学年の際、部の資金が底をつきかけ、艇庫代が支払えないかもしれないという部の存続の危機に直面した中で、主将と会計として部をまとめ、積極的に資金集めに奔走し、部の危機を救ってくれました。さらに70周年という節目の年に幹部学年を務めており、今のヨット部があるのは彼らの影の努力による部分も大きいと思います。
そんな2人にとって「スナイプ優勝を手にしたものの、総合は4位で終わった」という結果は正直満足できる結果ではないと思います。昨年度優勝したため他大学から追われる立場であり、またホーム開催というプレッシャーの中でよく4位入賞を果たしたという言葉で締めくくることもできますが、あえて称えることはしないでおこうと思います。彼らは今大会で第一線からは退きますが、自らの経験を後輩たちに伝え、来年の広島での西医体に向けて、チームの一員として、後輩たちと共に優勝杯奪還を目指してくれることでしょう。
<レース総括>
今回は近畿地方に直撃した台風10号の影響などで本レースの日程が短縮となり、また最終日は無風でノーレースとなったため、本レースは1日のみで、計6レースが行われました。本レース初日は、1日を通して、琵琶湖特有の強弱が強くシフティな1m/s ~ 4m/s三井寺の風が入る中でスピーディーな運営のもと、計6レースが行われました。ボートスピードの優劣というよりもシフトを上手く掴み、的確なコースを走ったチームが前に出る展開となり、前日の個人戦で上位を走った艇もかなりの苦戦を強いられていました。
走ったコースによって1つのレグで挽回が困難なほどの大差がついてしまい成績を安定させにくい風の中で、470級では香川大学と京都大学の2校がコース取りの上手さを見せ、ほぼすべてのレースで1位を分け合いました。スナイプ級では京都府立医科大学の他、軽量級の和歌山県立医科大学、プラクティスレースで強風での力を見せつけた宮崎大学と実力校が順当に前を走り、僅差で京都府立医科大学が1歩リードした状況で初日を終えました。
最終日に安定した北風が吹けば、初日の結果から大きな順位の変動もあるかと思われましたが、選手たちの願いは届かず、最終日は無風のためノーレースに終わりました。その結果、今年度の優勝杯は6年ぶりに香川大学の手に渡りました。彼らは派手さこそないものの、両クラスのスキッパーが共に複数回西医体に出場している選手で、何度も諦めず地道にヨットを継続し、チャレンジし続けた中での総合優勝であり、優勝に値する良いチームでした。
今大会における京都府立医科大学としての最大のニュースを挙げるとすれば、やはりスナイプのクラス優勝でしょう。これは記録が残っている限り京都府立医科大学史上初でありますが、1つ上学年で共に練習してきた私にとっては、この結果は必然であると感じています。昨年度1点差で届かなかった悲願のスナイプ優勝に向け、今年度は安定したレース成績を誇るチームリーダー瀬川を筆頭に、本レースで2回のトップフィニッシュを飾りチームを救った4回生スキッパー田中(拓)、数々の強風レースで力を発揮してきたクルー田中(智)、そしてチームのためにクルーに専念することを受け入れた3年目クルー鵜川、と盤石の布陣を揃えて挑みました。2艇とも全日本スナイプ選手権出場権を獲得している両艇は、強風下の個人戦で2ペア揃ってメダルを獲得して波に乗り、軽風の本レースでも瀬川艇が1回、田中艇が2回のトップフィニッシュを飾り、誰が出場しても、どんな風域でも勝てる圧倒的なチーム力を見せつけてくれました。シフトが激しい中でレース数が少ないという難しい展開でも実力通り勝ち切ることができたのは、練習で470チームと共にこれでもかという程に繰り返したマークラウンディングや、琵琶湖でのインカレの強豪校に揉まれながら多くのレース経験を積んだ結果でしょう。スナイプOBとして心から祝福を送りたいと思います。
(クラス優勝を果たしたスナイプチーム。おめでとう!)
また、今回の西医体は、運営面にまわった部員達の功績なしには語ることはできません。
競技委員長の井上、会計の奥川を中心にプライベートの時間も削って準備にあたり、暑い中引退したマネージャーたちも含め、部員全員が協力して運営にあたったことで、台風という想定外の状況の中でもスムーズかつ要領よく大会を行うことができました。
そして個人的に今回の西医体を通して得た最も大きな財産だと感じているのは、ヨットハーバーの方々や、柳が崎に拠点を置くワールドセーラーの方々、運営に協力してくださったヨット関係者の方々との繋がりです。出艇前に選手を鼓舞してくださったり、トップフィニッシュを飾ると、フィニッシュ後に一緒に喜んでくださったりと、「ホームで戦っているな」という温かい雰囲気が感じられ、昨年引退した私からみても羨ましい西医体でした。今後も今回得たハーバー内での繋がりを大切にし、より強いヨット部を作って行ってほしいと思います。
9月からは3回生の田中がキャプテンとなり、新体制が始まります。数年前に比べて部員数が少なくなった中で様々な困難にも直面すると思いますが、部員数が多いという大きなアドバンテージをなくさないようにプレーヤー、マネージャー皆で協力し、「強く、かつ楽しい」ヨット部をこれからも継続していってほしいと思います。
最後になりましたが、今年度は琵琶湖での開催ということもあって多くのOB・OGの先生方にハーバーに応援にきて下さりました。また普段からご寄付を賜り、またfacebook等を見て、卒後何年立ってもヨット部を気にかけてくださっている先生方も多く、本当に感謝しております。この場を借りて改めてお礼申し上げます。今後もご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
(岡本 / 平田 艇)
(瀬川 / 鵜川 艇)
(田中 / 鵜川 艇)
(西医体ヨット部門競技委員長を務めた井上)
みんなお疲れ様でした!