本年度、第70回西日本医科学生総合体育大会ヨット部門は静岡県三ケ日青年の家ハーバーにて開催され全9レースが行われました。今回京都府立医科大学は470級3位、スナイプ級3位、総合優勝と見事8年ぶりに優勝を勝ち取ることが出来ました。今大会は470級の塩見海斗、スナイプ級の佐藤健太、芝元心一の3名がエーススキッパーとして出場し現役最後のレースとなりました。
一つ上の学年として彼らと練習してきて、またOBとして練習を見てきましたが、彼らは常に上を目指してきました。彼らが1年時の西医体も浜名湖で行われており、またその時は惜しくも準優勝でありました。1年生なりにその時の先輩たちの悔しさが伝わっていたのか、彼らの優勝に対する気持ちはこの頃より強かったです。エースクルーとして出場した西医体でも結果が振るわず悔しい思いをし、優勝への気持ちはより一層強まったように思えます。この1年間も常に優勝をするためには何をするべきかを考えていた、考えられていた、そんな学年でした。情報収集のため浜名湖への遠征、多くのレースを経験するために広島、西宮へと赴き自らの実力を客観的に把握し何が足りていて、何が足りないのかを見つめ続けていました。そんな彼らが引っ張っていたチームがこのような最高の結果を生み出したことを誇りに思いますし、また反面羨ましくもあります。この優勝を飾ったチームが新たな風を起こし、次のチームの背中を押して連覇へと導いていくことを願います。
最終成績
470級
1位 兵庫医科大学 17点(5)-1-1-5-1-1-4-4-(6)
2位 和歌山県立医科大学 17点 1-4-(RET)-4-(5)-4-2
3位 京都府立医科大学 18点 2-2-2-1-3-(5)-(5)-3-5
4位 広島大学 27点 3-5-4-(10)-(DSQ)-3-1-8-3
5位 香川大学 28点 4-3-6-(8)-4-(8)-7-2-2
スナイプ級
1位 産業医科大学 19点 (8)-2-1-2-(6)-3-4-6-1
2位 広島大学 20点 2-1-(RET)-1-1-4-6-(8)-5
3位 京都府立医科大学 20点 (7)-3-(5)-3-4-2-2-4-2
4位 和歌山県立医科大学 23点 5-4-3-5-(7)-(7)-1-2-3
5位 浜松医科大学 29点 3-7-(UFD)-6-(9)-1-5-1-6
※()はカットとなります。
総合
1位 京都府立医科大学 38点
2位 和歌山県立医科大学 40店
3位 広島大学 47点
4位 香川大学 59点
5位 浜松医科大学 68点
レース総括
今年の浜名湖では、平均2-7m/s、ガストが入るとMAX10m/sという、軽風から強風まで幅広い風域の中レースが行われました。浜名湖は汽水湖であり、湖の様な風の振れの性質を持つ一方で、シーブリーズがしっかりと入る場所でもあり全風域をオールラウンドに走ることが出来る、かつ振れに対するレグも併せて考えなければならない、シーブリーズの入る領域を予測していくことが求めれれた難しい海面でありました。普段海で練習をする勢力、湖で練習をする勢力どちらに対しても良い意味で平等であったレース場であったと思います。またレース展開においても3上があるため、逆転が起きうるレグが多く、最後まで気の抜けないレース展開が多かったように感じます。
その中でも京都府立医科大学が総合優勝を掴むことが出来たのは、彼らがこの一年間ボートスピードを磨くことに力を割いていたのが一つの要因であったのだと思います。ここ数年、海で練習する勢力に後れを取っていましたがその一番の差はボートスピードでありました。特に今回のエーススキッパーたちは昨年唐津にて行われた西医体にも出場しており、その差を身をもって体感したメンバー達でもあります。その様な中、一年間しっかりと自らのボートスピードを底上げし、どんな強風でも上位陣に食い込めるように練習してきました。その練習が身を結びほとんどのレースでカットとなる順位を作らないという、堅実な走りを両クラス共に見せていきました。
短いですが6年間西医体を見てきた者として、西医体の様相は変化してきている様に感じます。昔の西医体では470級、スナイプ級、両クラスとも安定して走れる大学が少なく優勝するためには、どちらかでクラス優勝は必然、もっと言えば1位をより多く生産しなければなりませんでしたが、近年の西医体では上位陣を安定して走る艇数が増え、どれだけ両クラスで纏めることが出来たか否かが重要視されてきているように思います。昨年の西医体も、そして今西医体も総合優勝を果たしたのはクラス優勝を果たした大学ではなく、両クラス共にまとめ切った大学が優勝しています。昔の先輩の総括で「チーム力を見せた京府医」という言葉がありましたが、正にその「チーム力」が今現在、優勝するために問われているのではないかと思います。有名な言葉として「One for all, All for one」(「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」)がありますがこれは、ヨットにおいても的をいていると今回改めて思いました。一人一人がチームのために出来ることを考え働きかけ、そこで出来た最強のチームが優勝へと走っていくのだと思います。そのチーム力を培う中でサポートメンバーの存在も大きいものでした。早くから下の代たちがエースたちに焦りを覚えさせるほど上手くなり、その結果としてチーム全体が向上し完成されて行ったのだと思います。
今回、長い間の目標であった「強かった京府医」ではなく「強い京府医」を取り戻すことが出来ましたが、それは偏に彼らが誰一人として諦めることなく優勝を考えていたからです。最終日において、優勝候補はまだ絞り切られておらず、1レース毎に点数がめぐるましく入れ替わっていく展開となり、陸で待機している組でも点数計算がかなり困難でした。それでも海上にいる彼らは誰をカバーすれば良いか、誰に勝てば優勝できるのかを計算し尽くしていました。そうして最後まで気持ちが折れることなく優勝へと手を伸ばし続けていたからこその結果であります。最後のレース、数艇身以下の差で優勝を勝ち取った瞬間は今でも鮮明に覚えています。
9月より新主将の佐野を中心にまた新たなチームが始動していきます。今大会の経験は新しいチームにとっても非常に大きなものとなったと思います。今大会に加え今までの練習で培ったことを発揮して、今度は両クラス優勝による完全優勝を目指していってこの先1年間頑張っていってもらいたいと思います。
最後になりましたが、今西医体でも多くのOBの先生方がご多忙の中応援に来て下さいました。本当にありがとうございました。また今大会にて使用した470級の新艇購入におきまして、多くのOBの先生方のご支援、ご寄付にて成し遂げることが出来ました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。来年は琵琶湖にて京都府立医科大学主幹にて西医体が行われます。この勢いを途切れさせないためにもこの先も練習に励んでいきますので、これからもご指導、ご鞭撻の程よろしくお願い致します。
470級 塩見・佐野艇
470級 塩見・奥川艇
スナイプ級 芝元・河合艇
スナイプ級 佐藤・井上艇
優勝を飾ったエース達 本当にみんなよく頑張りました、おめでとう!